活動報告&活動予定
活動報告 2013年05月18日 「PADI 第2回ダイバー自身の安全対策セミナー」への参加
日時:2013年5月18日(土) 午後の部 13:30~16:00
会場:東京都渋谷区恵比寿南1-1-1 ヒューマックス恵比寿ビル7F 701教室
セミナー名:第2回ダイバー自身の安全対策セミナー
── 事故判例の検証からみる傾向と安全対策 ──
主催:Cカード協議会/実行委員:PADIジャパン
協力:海上保安庁 警備救難部救難課マリンレジャー安全推進室
参加人数:約60~70名
テーマ:
・バディシステムの再検証・・・互いのバックアップ
・2012年事故報告・・・・・・・・・海上保安庁報告
・世界の事故傾向・・・・・・・・・DANジャパン発表
・過去の事故事例検証・・・・・裁判判例から
この度、PADI主催の安全対策セミナーへ参加してきました。
テーマごとにディスカッション形式の質疑応答をしながら進めていき、事故が発生する原因は何なのか?問題はどこにあるのか?などを議論するにつれて、いくつかポイントがでてきました。
そのポイントの中で議論した内容および私の感想を報告したいと思います。
1)初心者ダイバーがカメラを持つのは事故につながるリスクが高いのではないか?
・器材操作が不慣れなダイバーはカメラにばかり集中して、自分のコントロールができなくなる?(カメラの大小による)
・カメラは「アドバンス」以上などランクを明確に分けて制限を設けるべきでは?
・カメラを持つことだけで本当に事故に直結していると言えるのだろうか?
・体験ダイビングでもカメラを持つケースはあるが、サポートがしっかりしていればよいのでは?
2)ガイド一人に対してゲストは何人までが理想なのか?
・水中で事故が発生すれば一人を対処するのが限界との見解(海上保安庁)
・ガイドは常に手の届く範囲にいなければゲストを守れない。とすればマンツーマンが理想なのでは?
・ガイドは同時に複数の事故者が出ることは想定していないのでは?
・スキルが身についているダイバーであることが前提で基本的に自分の身は自分で守れないとダメなのでは?
3)ダイブポイントでのガイドの海況判断はゲストのスキルに合わせて妥当なものとなっているのか?
・経験本数によって「潜れる潜れない」の判断はスキルに個人差もあり、リスクがあるのでは?
・エントリーエキジットは個人のスキルに合わせて安全な方法で行われていたのか?
・ガイドは「事故は起こらないであろう」的な気持ちでガイドしているのではないか?
4)リゾートでのCカード取得者のダイブスキルはPADIの基準どおりにきちんと身についているのか?
・旅行ツアーなどでは時間が足りなくて、認定が甘い基準になっているのでは?
・個人差によって、身につくスキルレベルが違うのに短縮された時間でCカード認定をしても、サバイバルスキル(バディダイブ可能なスキル)が身についたと言い切れるのか?
この他にもいろいろな意見があって、このような場を定期的に開催することは大変有意義なことだと感じました。
今回のセミナーでの事故事例は、いずれも初心者ダイバーのスキル不足が主な理由になっていることは否めませんでしたが、ある程度経験のあるダイバーでも事故は発生しているようです。そこにはダイバー自身の危険に対する意識の低下や慣れによる過信などがあるのかもしれません。
体調不良などは個人判断でないとわからないので、防ぎようがない事故もあると思いますが・・・。
私個人の感想としては、スクーバダイビングだけが特に危険なレジャーということではないと思います。
水に関する事故は海水浴やプール、川など水辺で毎年発生しており、後を絶ちません。
他のレジャーであっても危険をともなうレジャーは数多くありますが、スクーバダイビングは水中という、人間にとっては非日常的な環境下で楽しむレジャーです。
従って、必要最低限のスキルを身につけなければ当然リスクをともなうものだと思います。
それはダイバーであれば皆さん承知していることだと思います。
そこでPADIが提唱している「バディシステム」。その中でも特に今一度、「プレダイブセーフティチェック」の重要性について考えてみる必要があるのではないでしょうか。
これをおろそかにしたことによって、発生している未遂事故は数多くあると思います。
これは、お互いに器材フル装着のバディ同士で器材が一つ一つ正しく使用できるのかを確認し合う作業ですが、これはマニュアル通りにただやれば良いというものではなく、状況を考えながら実践する必要があるように思います。
例えば、エントリー時~水中~エキジット時では器材の使い方は少し変わります。
BCDにエアーが入ることは確認しても、BCDからエアーが漏れていないか確認していますか?
排気バルブが緩んでいたりすると、エキジット時に浮力が確保できません。
一つ一つの器材が状況によって使えるのか使えないのか。使い慣れないレンタル器材であれば特にチェックが大切だと思います。
どんなに急いでいても、相手から急かされても、時間に追われてこの「プレダイブセーフティチェック」を怠るということは、危険に対する意識が低い。すなわち自分の安全、さらにはバディの安全を完全に無視するということに他なりません。
司会者のPADI村上さんがおしゃってましたが、事故原因の解明における答えとして、「これが絶対に正しい答えだ」というものはないのかもしれないと。
しかし、私たちダイバーは今後もダイビング中の事故というこの問題に常に向き合い、考えていかなければなりません。
その意識を劣化させないようにするためにも本セミナーが継続されていくことを願っております。
written by Yamakawa